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スウェーデン人宣教師の長回し 2015.02.01

少し前、アガサ・クリスティの原作を三谷幸喜が脚色(?)したドラマ特番「オリエント急行殺人事件」が放送されました。アルバート・フィニー主演の映画版 (1974) を、演出、演技、美術などあらゆる面で下敷きにした作りで、映画版のファンである私はたいそう喜びましたとさ。そんな理由で、私の中のオリエント急行殺人事件愛が急激に再燃し、精神生活全般にまで延焼してえらい事になっています。(※物理的生活面での二次被害はナシ)

映画版を見返してみました。

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事件の起こった列車の乗客全員が容疑者となる展開の中、その場に居合わせた探偵エルキュール・ポワロが容疑者一人一人を個別に呼び出し、尋問する場面があります。うち一人が、イングリッド・バーグマン演じるスウェーデン人宣教師、グレタ・オルソン。地味なメイクに地味な髪型、地味な服装のこの女性は英語が不自由で、気は弱いが信仰心が厚い。そんな彼女の取り調べシーンだけは、他容疑者の尋問とは違って四分ほどの長回しで、終始カメラが回りっぱなしでした。今回初めて気付きました。

おどおどと入室し、ポワロと同席する関係者にも気を遣って目線をやり、言葉を探しながら苦手な英語でたどたどしく喋り、慈善事業で多くの寄付金を集めた話では嬉しさと誇らしさが顔を覗かせ、事件の捜査で不謹慎かと慌てて喜びを打ち消して表情を硬くし、不信心だった両親のことを訊かれて涙ぐみ、ポワロの慰めに安堵し。などなど、ジェットコースターのように激しくアップダウンするグレタの心の動きを、バーグマンはわずかな表情の変化に込めていたように思います。静かな芝居ではあるけれど、信仰に裏打ちされた強さと生来の臆病さが同居する役柄の中で、女優魂が生き生きと躍動するのを感じます。

この宣教師演技は、結果的にアカデミー助演賞に輝き、バーグマン晩年の代表作のひとつになりました。出演者がやたらと多い「オリエント急行〜」で彼女が前面に出るのは、前述の取り調べシーンが中心なので、その僅か数分の演技が主に評価されたのかと思います。じっくり観るとすごい見応えですが、一方で派手さは皆無であり、これを正当に評価するアカデミーの炯眼もスゴイな、と思ってしまいました。そう思うのは素人だけで、プロの目には明白なのかもしれませんが。

当初バーグマンにオファーがいったのはロシアの貴婦人役だったそうですが、冴えない宣教師役を本人が自ら希望したとのこと。確かに、どうせ彼女に振るなら高貴で威厳のある役を、と誰もが考えるでしょう。これはただの想像ですが、自ら宣教師役を望んだ彼女の熱意に応えて(?)長回しで撮ったのだとしたら、監督のシドニー・ルメットもアツ過ぎます。


2015jangolsn.jpg

(追記)
ルメット監督のコメントがウィキペディアに載っていたので引用。
そこそこ思った通りでした。( ̄ー ̄)

「バーグマンは端役を選び、私にはその決心を変えることはできませんでした。彼女は愛らしくも頑固な女性だったといえるでしょう。とはいえ、あまりにグレタ・オルソンが小さな役だったために、私はひとつの決断をしました。彼女一人をスクリーンに写して、ひとつのテイクで5分間にわたって喋らせ続けたのです。ほとんどの女優はこのような演出を嫌がります。でも彼女はこのアイデアを気に入って、やりとげてくれました。彼女はあらゆる感情をこのシーンで表現しつくしました。このような経験は私にとっても初めてことだったのです。」



Comments

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Bill McCreary : URL

2015.02.21 Sat

すでにご存知でしょうが、次の「午前十時の映画祭」で、この映画が上映されます。

http://asa10.eiga.com/2015/cinema/506.html

私も「オリエント急行・・・」は映画館では見たことがないので、これは楽しみです。

また個人的は、「ライアンの娘」が見られるのはうれしいですね。この映画は映画館では70mmで見るべき映画なので、デジタル上映なのは残念ですが。

なかなか楽しみです。

ogat : URL

2015.02.21 Sat

>Bill McCrearyさん

午前十時情報ありがとうございます。
今年分の内容に期待していましたが未チェックだったので、
うれしいニュースでした。
良いラインナップですね。毎年続いても飽きさせない内容。
噂をすれば、のオリエント急行もたのしみです。

Bill McCreary : URL

2016.02.22 Mon

ちょうど1年前この映画についてコメントしていますが、遅くなりましたがこの映画を「午前十時の映画祭」で見たのでコメントさせて下さい。

この映画を見ていて、アルバート・フィニーのポワロがものすごく攻撃的な演技だなと思いました。デヴィッド・スーシェやピーター・ユスティノフなどとだいぶ雰囲気が違います。個人的には、フィニーのポワロをもっと見たい気がしました。

あと、犯人たちを見逃すことを決定するシーンで、ショーン・コネリーが見逃すことを「賛成」といっていたのには、映画の台詞ですが「ちゃっかりしているなあ」と苦笑しました。実は彼は、ルメット監督作品にはわりと顔を出しています。

余談ですが、ジョージ・ルーカスだったかが、どんな映画でもつくれる監督が一番すごい監督だといっていて、その例としてシドニー・ルメット監督をあげていました。実は私も、一番尊敬している監督が彼なのです。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/3e3f609b4e5155160f297d495da97517

なお今度の「午前十時の映画祭」も、なかなか充実したラインアップです。

http://asa10.eiga.com/2016/

ogat : URL

2016.02.23 Tue

>Bill McCrearyさん

フィニーのポワロは、やり過ぎなくらいにキャラが誇張されて、実際ものすごいインパクトです。スーシェ、ユスチノフのポワロも一応は見ましたが、本当は彼等のポワロにより現実味があるんだろうなと思いつつも、フィニーの後だと薄味に感じられてしまうんですよね…。よくもわるくもフィニーポワロの存在は絶大です。そしてコネリーのアーバスノット大佐、笑えますね。ポワロもアーバスノットも他の登場人物も、階級、国籍、職業ごとの個性がステレオタイプ的に強調されているのが愉快です。まあその辺が、この物語のひとつの重要な背景でもあるわけですけれども。

午前十時、子供の時にテレビで見たきりの「ハリーとトント」が地味に楽しみです。

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