10年以上前、露店にて廉価で購入したニューエイジ・ミュージックのCD。久々に引っ張り出して、最近よく聴いています。誰が演奏しているというクレジットもないアルバムで、イルカの声、鳥のさえずり、川のせせらぎなどの自然音に乗って、シンセサイザーの奏でる無難かつ自己主張皆無の音楽が、時にフワフワと、時にミニマル的に、淡々と流れて行きます。これがなかなか心地良い。

「イルカ」、「癒し」、「ヒーリング」などという単語は、音楽を形容する言葉としてはある種の胡散臭さを漂わせてしまう場合があります。(とりあえずイルカに罪はない。)しかし、メロディーの良さ、コード進行の面白さ、演奏の質の高さなど、音楽の品質を計る評価基準として日頃用いている幾つかの事柄とはかけ離れたところで、こういう音楽の必然性はあるものだなと感じました。毒にも薬にもならない様な存在感のない音の羅列が延々と続いているだけなのですが、この「存在感の希薄さ」が本当にラクチンです。
ミュージシャンが自分の看板を掲げて作る音楽には、ほぼ確実に本人の価値観が投影され、いかに「存在感」のある音を生み出せるかどうかが焦点となる。そして、そこに共鳴共振したリスナーが彼または彼女の音を楽しむ訳です。しかし、自分の信念とか主張とかを一切投入しない音楽を作ったら(そんな事が可能なのかどうかはともかく)、それはそれで逆に面白そうな気がしました。
